家族のために残した財産が原因で家族がもめてしまう・・残念ながらよく聞く話しです。
それでも家族間で話し合いがつけばよいのですが、家族だけでは解決できずに家庭裁判所に持ち込まれるケースが増えています。

家庭裁判所に持ち込まれる件数の推移

紛争グラフ1
相続に関するもめ事で、当事者間では解決できず家庭裁判所に持ち込まれるケースが年々増加しています。

互いに合意し調停が成立するのは約半数です。調停が成立せず家事審判官の判断がなされる認容や却下、審判になるケースは28%です。この28%のうち審判官の判断に不服がある側は、抗告という不服申立を行う事ができ、更に争いが続くおそれがあります。

そして、この遺産分割紛争の特徴として、家裁に調停の申立をした後に、申立が「取下げ」られるケースが約2割あります。家裁申立後に、冷静になって当事者間で合意するパターンや、調停といえども争いなので、疲れて取り下げる・・等が考えられます。

当事者間でもめた後、次は裁判所で調停委員を交えて話し合いを続けることは、精神的に更に大きな負担になってしまいます。

家庭裁判所で争われる遺産額

紛争グラフ2
家庭裁判所に持ち込まれる相続争いの案件で、遺産額が1,000万円以下の争いが全体のです。

別の言い方をすれば、1,000万円以下でも当事者間では解決できず家庭裁判所にまでいってしまっているということです。

5,000万円以下になると全体の7割を占めます。うちには争うような大金、財産はないから・・・と思っている方もいらっしゃいますが、現実は、グラフの通り1,000万円以下での相続争いが3割もあります。

相続財産の額は関係ないとお考え下さい。少額でも、もめるときはもめます。

家庭裁判所で調停に要する期間

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相続争いが家庭裁判所での協議になった場合、多くの方は初めて裁判所へ行くことになるでしょう。

裁判所での協議は平日に行われますので、日程調整も大変になり、なによりも裁判所と聞いただけで身構え、気が重くなり、精神的な負担は計り知れません。

そのような協議は早く終わるにこしたことはありませんが、現実は、1ヶ月で協議が終了するのは僅か2%です。全体の6割が終了に6ヶ月以上かかっています。

家庭裁判所での調停回数

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調停は裁判ではありません。裁判官ではなく調停委員が双方の言い分を聞き、互いに合意できるように調整します。

グラフのように、当事者間で激しくもめた結果、家庭裁判所に申立てられた紛争は、1回や2回だけの協議ではなかなかまとまりません。1、2回の協議で済むのは3割程度で、7割が協議を3回以上行っています。6回以上もの協議を要したケースは35%もあります。

家庭裁判所での遺産分割調停について

相続人である当事者の1人による家庭裁判所への申立により開始されます。
調停は家庭裁判所で行われますが、裁判ではないので法廷ではなく調停室で行います。

裁判のように第三者に公開される(裁判を傍聴することができる)ことはありません。
また、場合によっては紛争の当事者同士は最初と最後に顔を合わせることがありますが、協議自体は調停委員相手に行うので、直接相手と調停室で言い争うという事はありません。

調停委員は当事者の意見を聴いて、裁判官の判断を仰ぎながら和解するよう話しをまとめていきます。
調停の段階で、互いに意見があれば調停委員に述べ、時には陳述書、主張書面等の書類を提出します。

互いに意見が出尽くした段階で互いに和解できるポイントを調停委員に提示し、それに基づいて最終的な和解案を作成します。

相続人全員が最終和解案に合意できれば調停終了です。
※調停は判決と同等の効力がありますので、後でくつがえすことは容易ではありません。

合意できなければ自動的に調停から審判に移行します。
審判は裁判と同様で、裁判官が決定という、いわゆる判決のようなものを出します。
この決定に不服である場合、控訴にあたる即時抗告を高裁に行い引き継ぎ争っていくことになります。

以前、ご相談いただいた遺産分割調停も半年以上も協議を続けられていました。
司法書士には家庭裁判所での代理権がないので依頼人に代わって調停委員や紛争相手と協議することはできません。(全てを代わりにやって欲しい場合は、弁護士に依頼することになります。)
司法書士は、状況を詳しくお聴きしてご依頼人が主張されたいことに基づいて主張書面等の裁判所提出書面を作成させていただくことになります。
主張内容を認めてもらうには、ただ主張するだけでなく証拠、資料等も合わせて提出することが重要になります。

ご相談をお聞きしていて、「遺言書さえあれば、こんなに家族で争うことはなかっただろうに・・・」と思うことがあります。
当事者による遺産分割は、仲の良かった関係でも難しいです。
当事者だけでなく、配偶者、子、知人の意見が加わり、互いの要求がぶつかりあって、調整することが困難になってしまいます。

ご相談者から相手への怒り、不満をお聞きしていても、怒ることへの疲労やこんな争いから早く解放されたいとの思いが感じ取れます。
遺言書があれば、その内容に従って淡々と処理していけるのに・・と思ってしまいます。

内容に不満があっても遺言書が有効であれば従うしかなく、争いも防ぐことができます。
自分亡き後の相続争いが心配な方は、是非、遺言書をご検討下さい。

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