
2024年4月1日より相続登記を義務とする罰則付きの法律が施行されますが、それと同時に所有権の登記名義人の氏名や住所が変更したときも、変更の登記申請をしなければいけないと義務化されます。
これも空家問題、土地所有者不明問題の対応策として新たに設けられた法律です。
相続登記を含めて新たに不動産の登記名義人として登記申請する場合、現住所を登記簿に記載することになります。
その後、移転により住所が変われば、本来であれば登記簿上の住所も移転先の住所に変更しなければいけないのですが、所有をし続けている間は住所変更しなくても実際は何も問題ないので、旧住所をそのままにしておくケースが多くあります。
移転後更に移転を数回繰り返したりすると、登記簿上の住所から最終的な移転先をたどることが難しくなってしまいます。
移転の都度、住民票を移転先に移していれば良いのですが、そうでなければ現住所を探すことは出来なくなり、不動産の所有者がどこにいるか分からない状態になってしまいます。
現実に、不動産登記簿上の所有者の所在確認をしても分からないことが多くなり、そこで、今回、住所を移転したら必ず登記簿上の住所も変更しなければいけないと法律で義務化されることになりました。
相続登記と同様に罰則規定も設けられており、氏名・住所変更申請については、正当な理由なく登記を怠ったときは5万円以下の過料に処すとなっています。
申請義務の内容
不動産登記法76条の5「所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から2年以内に、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならない。」
変更とは、転居、婚姻による住所・氏名変更、法人の商号変更、本店移転等が該当します。
申請期間
2024年4月1日以降は、登記名義人に氏名・住所の変更があった日から2年以内に、その旨の変更登記申請をしなければいけないとされています。
2024年4月1日前に変更している場合
変更が義務化される2024年4月1日以前に既に変更が生じ変更の登記をしていない場合も変更登記義務の対象になります。
この場合の変更登記義務期間は、2024年(令和6年)4月1日から2年以内となります。
昭和や平成の時代に登記簿上の氏名・住所に変更があってそのまま放置している場合、2024年4月1日から2年以内に変更登記申請しないと過料を科せられるおそれがあります。
登記官の職権で変更登記されるケース
不動産登記法76条の6:
「登記官は、所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記をすることができる。ただし、当該所有権の登記名義人が自然人であるときは、その申出があるときに限る」
上記のように登記官が住基ネット等通して変更情報を入手したときは、当事者からの申請なしに職権で変更登記できるとされています。
ただし、自然人(法人でない個人)については、当事者の申出があるときに限定されています。
登記官が職権で所有者の住所変更登記をすると、現住所が登記簿に公示されることになります。
登記簿は請求すれば誰でも自由に取得できるので、DV等いろいろな事情で現住所を他者に知られたくない個人もいることが考慮され、自然人に関しては申出があった場合に限るとされました。