寄与分とは

寄与分とは、特定の相続人が生前の故人の財産がに対して、減少じないように維持、又は増加したことに何らかの特別な寄与をしている場合、その分は寄与した者が相続することができるとするもです。

民法では、「共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。」と規定されています。

例えば、相続人Aが母が住む家の修理費用として300万円を支出していて寄与分として認められれば、Aが300万円出したことで母の財産(遺産)が300万円減らなかったと言えるので、遺産の中の300万円はAが寄与分として相続することになります。

寄与分の対象

民法条文には、「労務の提供」「財産上の給付」「療養看護」「その他」とされています。
これに基づいて、寄与分の対象となる行為は、以下の5っの類型に分類されています。

  • 家事従事型
  • 金銭等出資型
  • 療養看護型
  • 扶養型
  • 財産管理型

寄与分として認められるには、単に上記に分類される行為を行っただけでなく、その行為が故人の財産が維持・増加したことに特別に寄与していなければいけません。

家事従事型

家事従事型寄与分とは、民法に記載されている「労務の提供」に関連します。
故人が行っていた事業・商売・農業・漁業等に従事して労務の提供をしたことが対象になります。

ただし、従事していたとしても、普通に給与をもらっていれば従業員と変わりないので寄与分になることはありません。

上記の要件を満たし、結果、故人の財産に維持、増加について特別な寄与があれば寄与分と認められることになります。

金銭等出資型

出資とありますが、故人に対して何らかの金銭的贈与をした行為が対象になります。

故人の家の修理費用を負担した、故人の家の建替え費用を負担した、故人の借金を返済した、商売の援助として金銭を渡し等々が該当します。

事業に対する資金援助として故人の会社に出資したような場合、故人に対する贈与ではないとし対象となりません。
ただし、故人の資産と会社の資産に区別なく、故人=会社のような場合は、該当する場合があります。

療養看護型

生前中の故人の療養看護に従事していたことが寄与分の対象となります。

療養看護型の寄与分は、看護する人がいなければ人を雇わなければならず、その費用が発生するが、特定の相続人が療養看護することでその分の費用を支出せずに済んだことで故人の財産が減少することなく維持されたので、その分は療養看護した相続人が取得するとしたものです。

認知症や高齢な親と同居してずっと介護していた子と、遠方に住んでいて介護には殆ど関与していない子との間で問題になることが多いです。

寄与分に該当するには、療養看護の必要性と共に「無償性(対価がないか著しい低対価)」「継続性(一時的ではない)」「専従性(片手間でなく専従的な労務)」が必要とされています。

扶養型

親子や兄弟姉妹間で、扶養として何らかの援助をするのは特別なことではありません。
民法でも、親子等の親族の関係にある者は互いに扶養義務があると規定されています。

そこで、通常、親族であれば扶養するであろうとされるものは寄与分には該当せず、その範囲を超えるような扶養が該当するとされています。
この範囲は、故人との関係性や経済状況等、個別ケースで異なるので判断は簡単ではありません。

内容としては、別類型とされている金銭等出資型と似ており、扶養型には該当しなくても金銭等出資型

財産管理型

故人の財産を管理していた行為が対象になります。
故人所有の不動産や賃貸マンション、駐車場等を故人に替わって長年管理していたようなことが該当します。

相続人が管理することで管理会社へ支払う管理委託費用が不要になり、その分が故人の財産から減少せずに維持できたとして、寄与分として相続人が取得することになります。

寄与分がもめる原因

上記の類型に該当する行為が全て寄与分として認められるわけではありません。

寄与分の前提にあるのが、「扶養の義務の範囲」です。
寄与分として認められるには、親族として期待される以上に故人の財産の維持、増加に特別の寄与(貢献)が必要です。
範囲内とされれば、寄与分にはなりません。

どこまでが範囲なのかは、当事者間の関係、経済状態で扶養の範囲も異なり、基準となる額等はありません。

また、家事従事型、療養看護型、財産管理型に関して、例えば、親が病気のときに看護する、親の商売を子が手伝う、このような事は親子、親族関係ではよくあることで、これらの行為が全て寄与分になるわけではありません。

寄与分とされるには、「無償性(無給や著しい低賃金)」「継続性(一時的ではない)」「専従性(片手間でなく専従的な労務)」という要件が必要になりますが、明確な基準はありません。

寄与分を主張する場合、相手に納得してもらうには資料や記録が必要でしょう。
紛争になり調停や審判、裁判になったら、主張する側がより具体的な証拠を示して立証しなければいけません。

生前の故人との関わり方で、相続時に寄与分を主張しようと思われている方は、記録し関係書類を保管しておくことが重要です。

寄与分の計算方法

寄与分は、特定の相続人が故人に対して行った行為を寄与分として遺産分割で当該相続人の相続分に反映させることを目的にしています。
寄与分計算1故人の亡くなった時の遺産が2000万円のケースでの寄与分の計算の仕方は、以下のようになります。

寄与分計算2長男が故人が生前中、故人の家の修理費用として300万円を援助していた。
長女が遺産分割協議で、法定相続割合に従って平等に各2分1で遺産を分けようと提案した。

寄与分計算3これに対して長男は、300万円を家の修理費として母親に渡している。何も負担していない長女が自分が同じ割合で相続するのは公平ではないとし、長男は母に渡した300万円を寄与分と主張。
長女も寄与分とすることで了解。

計算は、まず、死亡時の遺産額2000万円から寄与分を加算します(2000万円+300万円=2300万円)。
加算後の額(2300万円)を法定相続割合で分割し、各自の法定相続額は1150万円になります。
寄与分計算4
寄与分者の長男はそのまま1150万円を、長女は1150万円から長男の寄与分額300万円を控除した850万円を相続することになります。
寄与分計算5

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