遺言相続

遺言書と聞くと、会社の社長や資産家等のお金持ちの人達の話し、、、と思われる方も多いです。

多額の現金、複数の預金口座、株式や債券、複数の不動産等々、これらを相続人達で話し合って分け方を決めることは難しいだろうなぁと容易に想像できます。

後に残る家族、親族が争い合うことのないように、分け方を明記した遺言書を残しておくことは、ある意味家族に対する責任とも言えます。

でも、私には財産と呼べるものはないし、遺言書なんてたいそうなものは必要ない、、、と思っていませんか?

しかし、自分の財産を全部使い果たして亡くなる、ということはできることではありません。

多くの方は、財産はないと言いながらも、預金口座には数百万円の預金が残っていたりします。
また、何十年も前に建てた古い家があるが、ボロボロで財産と言うほどのものではない、と思われているかもしれません。

少ないと言いながらも財産がある以上、そこに紛争のタネがあると言えます。

相続でもめて当事者だけでは解決できずに家庭裁判所の遺産分割調停に持ち込まれる約3割は、遺産総額が1,000万円以下です。

遺言書の作成

この数字を見ても、遺言書は資産家だけの話しではないことが分かります。
ましてや、持ち家がある方は、遺言書は遺言書を残しておくにこしたことはありません。

遺言書があれば、残された家族もも安心できます。

遺言書が無ければ家族で遺産の分け方について話し合って決めなければいけません。

家族と言えども、お金の話しは気軽にできるものではありません。
そこに、遺言書があれば、その内容に従うだけなので、安心して相続手続を進めることができます。

遺言書の作成は司法書士が最適

遺言書を作成しても、それが争いの基になることがあります。
実際に遺言書の法的有効性を争って裁判も起こされたりしています。

争いを防ぐために遺言書を残しているのに、これでは意味がありません。

司法書士は、相続登記をはじめとして相続の専門家として、相続法等の種々の法律、判例を踏まえて、遺言作成者の意思通りに相続が実現できるように遺言書の作成をお手伝いします。

高齢な方が遺言書を作成する場合、作成時の意思能力があとあと問題になったりします。

遺言書が亡くなる時に認知症になっている場合、いつ発症したか、いつから意思能力に障害が生じたか、が問題になります。

遺言書の内容が自分に不利な場合、その相続人が遺言者は遺言書作成時、既に認知症を発症しており遺言書は無効、と主張することがあります。

作成者がかなりご高齢等で意思能力があとあと問題になりそうであれば、作成時に医師から意思能力について診断書をもらっておいたり、作成時の司法書士とのやりとりを録音や録画しておいて、遺言者の意思に問題がなかったことの証拠を揃えておくことも重要になります。

不動産に関する遺言

特に不動産をお持ちの方は注意が必要です。

特定の相続人に特定の不動産を相続させたい場合、いわゆる「相続させる」遺言を作成します。
「Aに甲土地を相続させる」とする文言になります。

これにより、相続発生と同時に甲土地は他の相続人の関与なしにAが相続により所有権を取得することになります(最高裁判例)。

ただし、司法書士から見ると、この遺言には2っ観点で注意が必要です。

1つは、登記です。
民法が改正され、「相続させる遺言」でも登記をしなければ、法定相続割合を超える部分は対抗できない(権利を確定することができない)とされました。

相続人がA、B、Cの子供3人の場合、Aが相続登記をする前にCがABC共有で相続登記をして自分の持分3分の1を第三者の売却し、当該第三者に登記をされたら、Aは当該第三者の登記を否定することができなくなります。

当該遺言書を司法書士が作成していれば、このような法律に精通しているので、相続発生と同時にいち早くAに相続登記を促すこともできます。

2つめは、Aの立場からの視点ですが、甲土地の相続をAが望んでいますか?という問題です。

上記最高裁判例で、相続発生と同時にAは否応なしに甲土地を相続することになります。

Aが甲土地の相続を欲しない、拒むとしたら、Aは相続放棄をしなければいけなくなります。
しかし、相続放棄をすると、Aは甲土地のみならず遺言者の遺産全てに対して相続権を失うことになります。

また、Aは土地は相続したくないがBが相続を望んでいるような場合、Bが甲土地を取得するにはどうするかが問題になります。

厳格に手続を踏まえると、甲土地は相続発生と同時にAに相続されているので、Aに一旦相続登記した後、Bに移転登記する、という手続になります。

この場合、Aに対しては相続税、Bに対しては贈与税が課せられることになりかねません。

相続人全員でBが取得する旨の遺産分割協議書を作成してBが相続するやり方も考えられますが、明確な適法判断がされていません。

このように、文言一つで手続に大きく影響する場合があるので、遺言書の作成は司法書士、又は弁護士に依頼されることをおススメします。

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